2012年12月11日火曜日

環境と社会研究会のお知らせ

「タンチョウと地域コミュニティ:地域資源の活用可能性と課題」
 
【日時】
 2012年12月13日(木) 18:30~20:30

【場所】
北海道大学人文・社会科学総合教育研究棟W309教室    
(地図:http://lynx.let.hokudai.ac.jp/conferences/jasag2011autumn/access_map.pdf
(地図には「4階」と書いていますが、会場は3階です)

【内容】
 18:30~18:35 趣旨説明と講師のご紹介 (北海道大学観光学高等研究センター 敷田
麻実)
 18:35~19:25 解説と報告 「タンチョウと地域コミュニティ」
                  (タンチョウコミュニティ代表 音成 邦仁さん)
 19:25~20:00 ディスカッション 

【音成邦仁さんのご略歴】
1967年東京生まれ。横浜市立大学文理学部理科卒業後、リゾート地の開発運営会社「エス
ティティ開発㈱」に入社。2001年、(財)日本野鳥の会に入局し、「鶴居・伊藤タンチョ
ウサンクチュアリ」に赴任。2008年、地域住民と一体となった活動を目指し「タンチョウ
コミュニティ」を設立し、現在に至る。

『特別天然記念物にして希少種としても保護されているタンチョウ。しかし、タンチョウ
は本当に守られていると言えるのでしょうか? タンチョウとともに暮らす鶴居村を中心
とした地域を取り巻く現状と、今後の可能性をタンコミ目線でお話しさせていただきま
す。』【音成さんからのメッセージ】

【参加の申込み・お問い合わせなど】
どなたでも自由に参加していただけます。事前参加申込みはいりませんが、ご質問等は下
記の敷田までお願いします。なお、終了後に音成さんを囲んで懇親会を企画しますので、
こちらも当日申し込みで自由にご参加頂けます。
  
開催責任者連絡先:北海道大学観光学高等研究センター 
敷田麻実(shikida@cats.hokudai.ac.jp)
【メールが出せるHPは「敷田」で検索できます】

2012年11月22日木曜日

日本都市計画学会北海道支部研究発表会のご案内

日本都市計画学会北海道支部では都市計画に関する日頃の研究内容や実践活動を発表する機会を広く設けるために、支部研究発表会を開催します。ご案内します。

■日時:2012年12月1日(土)13:00-17:00
    13:00-14:00:ポスターセッション
    14:00-15:00:記念講演
    15:00-17:00:発表セッション
    17:30-:懇親会

■場所:北海道大学学術交流会館(札幌市北区北8条西5丁目)

■参加費:500円(資料代を含む)

■ポスターセッション研究発表タイトル ※◎印は発表者
1)倶知安町・ニセコ町のリゾート地域における土地利用コントロールについて
◎宮浦 直人(札幌市役所)
2)歩行空間の構成要素と利用者の印象評価の関係に関する研究
◎高田 尚人(独立行政法人土木研究所寒地土木研究所地域景観ユニット)、笠間 聡、松田 泰明
3)都市公園再整備における地域住民の愛着と参加意欲
◎愛甲 哲也(北海道大学大学院農学研究院)、山田 一輝
4)北海道旭川市における都市防火性能評価による防火地域・準防火地域指定基準の策定
◎戸松 誠(北海道立総合研究機構)、大柳 佳紀、南 慎一
5)東日本大震災に関する宮城県山元町での災害危険区域の指定について
◎勝見 元暢(札幌市役所)
6)縮小型都市デザインの将来ビジョン –夕張2030-
◎生沼 貴史(株式会社ドーコン 総合計画部)、瀬戸口 剛、長尾 美幸、岡部 優希、石塚 雅弘
7)地区計画制度運用における新たな仕組みの導入
◎滝上 慶太郎(札幌市 市民まちづくり局 都市計画部 地域計画課)
8)北4条東6丁目地区の持続再生に向けたRedefining
◎谷 聡(北海道大学大学院工学院空間性能システム専攻都市計画研究室)、堀内 孝太、松浦 裕馬、横山 奏絵、高橋 知花
9)共創 —シェアからつながる持続的街区再生—
◎林 大樹(北海道大学大学院工学院空間性能システム専攻都市計画研究室)、吉村 務、奥 菜月、
押木 祐生、山崎 嵩拓
10)屋外広告物撤去実現のための広域サイン計画
◎大塚 英典(株式会社ドーコン 都市環境部)、角田 洋
11)市街地における狭小街区公園の実態と空間構成の特徴に関する研究
◎椎野 亜紀夫(北海道工業大学)
12)増毛町市街地と現存する古建築について
◎堀内 孝太(北海道大学工学院空間性能システム専攻都市計画研究室)、角 幸博、小澤 丈夫、
石本 正明
13)札幌市における住民参加へ向けたまちづくりセンターの活用について
◎吉村 務(北海道大学 大学院工学院 空間性能システム専攻都市計画研究室)、坂井 文、越澤 明
14)東日本大震災を教訓とした『北海道の防災』提言プロジェクト −日本技術士会北海道本部の活動−
◎浅野 基樹(公益社団法人日本技術士会北海道本部防災委員会)、高宮 則夫、小林 正明、
大浦 宏照
15)後志地域における廃屋・空き家対策について
◎田村 佳愛(北海道後志総合振興局小樽建設管理部建設行政室建設指導課)
16)子どもの安全安心のための地域活動から地域コミュニティの活性化に関する考察 旭川市近文地区「近文あい運動」の実践を通して
◎松村 博文(地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 北方建築総合研究所)、樋野 公宏
17)協働型インフラマネジメントの実践〜知床地域での取組み〜
◎及川 宏之(株式会社ドーコン 交通部)、金田 武、湯浅 浩喜、成田 伸理
18)札幌みんなのサイクル「ポロクル」
◎奈良 照一(株式会社ドーコン 交通部都心交通企画室)、澤 充隆、宮坂 純平、平川 貴志

■記念講演 〜平成24年度 日本都市計画学会論文奨励賞受賞者〜
◎村上 佳代 (北海道大学 観光学高等研究センター 特任助教)
受賞論文:エコミュージアム概念に基づいた文化資源マネジメントに関する研究
◎八百板 季穂 (北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院)
受賞論文:発展途上国における都市遺産観光開発に関する研究

■発表セッション
1.安心安全のまちづくり   (コメンテータ:久保 勝裕 、 司会:小篠 隆生)
◎戸松 誠 (北海道立総合研究機構 北方建築総合研究所) 他
北海道旭川市における都市防火性能評価による防火地域・準防火地域指定基準の策定
◎浅野 基樹(公益社団法人日本技術士会北海道本部防災委員会) 他
東日本大震災を教訓とした『北海道の防災』提言プロジェクト −日本技術士会北海道本部の活動−
◎勝見 元暢(札幌市役所)
東日本大震災に関する宮城県山元町での災害危険区域の指定について
◎松村 博文(北海道立総合研究機構 北方建築総合研究所) 他
子どもの安全安心のための地域活動から地域コミュニティの活性化に関する考察  旭川市近文地区「近文あい運動」の実践を通して
(ディスカッション)

2.計画と参加   (コメンテータ:八百板 李穂、村上 佳代 、 司会:椎野 亜紀夫)
◎吉村 務(北海道大学大学院工学院 空間性能システム専攻 都市計画研究室)、坂井 文、越澤 明
札幌市における住民参加へ向けたまちづくりセンターの活用について
◎愛甲 哲也(北海道大学大学院 農学研究院)、山田 一輝
都市公園再整備における地域住民の愛着と参加意欲
◎及川 宏之(株式会社ドーコン 交通部)、金田 武、湯浅 浩喜、成田 伸理
協働型インフラマネジメントの実践〜知床地域での取組み〜
(ディスカッション)

■懇親会
発表セッション終了後、懇親会を開催します。
場所:ベストウェスタンホテルフィーノ札幌 14階 Ristorante Fino(札幌市北区北8条西4丁目)
時間:17:30-19:00(予定)
会費:4,000円
以上

参加申込・問い合わせ先
11月26日(月)までに下記を info-hokkaido@cpij-hokkaido.jp にご連絡ください。
お名前:
ご所属:
 研究発表会(出席・欠席)
 懇親会(出席・欠席)

--
愛甲 哲也
北海道大学大学院農学研究院
Tel/Fax 011-706-2452
tetsu@res.agr.hokudai.ac.jp
www.agr.hokudai.ac.jp/hsla/aikoh/

2012年10月11日木曜日

「自然公園研究会」の開催について(ご案内)

 2005年11月に開催された「自然公園研究会集会」をきっかけとして、自然公園管
理にかかわる研究者などがゆるやかにつながりながら活動してきた「自然公園研究会」
の趣旨をうけて、2012年秋季より、公益財団法人日本交通公社を事務局とする定例
研究会を開催させていただくこととなりました。
 定例研究会(「第◎回自然公園研究会」とよぶ)では、自然公園をはじめとする自
然地域の管理や、望ましい利用の促進などについて、各回にテーマを設け、関連する
トピックや最新の研究成果を3〜5人が発表、意見交換を行う予定です。関係する研
究者や管理者等が自主的に参加するオープンな研究会として運営し、関係者間の知見
の共有やコミュニケーションの場にしていきたいと考えております。
 なお、当年度中には3回の研究会を開催し、テーマについては、
  ・自然歩道
  ・国立公園のブランド
  ・自然公園における利用者モニタリング
  ・持続的な利用にむけた指標
  ・LAC
  ・利用者満足から見たキャリングキャパシティ
等を想定しています。また、研究会の実施にあたり、環境省国立公園課、一般財団法
人自然公園財団、世界保護地域委員会日本委員会のご協力をいただいています。

 つきましては、下記の通り第1回自然公園研究会を開催しますので、ぜひご参加ください。



◆第1回自然公園研究会の開催概要

<テーマ>
  自然歩道を考える

<日時>
  2012年10月19日(金)13:30〜17:10

<会場>
  公益財団法人日本交通公社 大会議室
  (会場地図http://www.jtb.or.jp/about/index.php?content_id=7をご参照ください。)

<プログラム>
  13:30 開会
  13:30〜14:10   オルレを活用した外国人誘客 〜九州オルレの取組
               李 唯美氏(九州観光推進機構 海外誘致推進部韓国担当)
  14:10〜14:50   巡礼の道 〜サンティアゴ・デ・コンポステーラ(スペイン)
               石山 千代(公益財団法人日本交通公社 研究員)
  14:50〜15:30   地域をつなぐ道〜北海道のフットパス
               小川 巌氏(酪農学園大学 教授)
  15:30〜15:50   休憩
  15:50〜16:30   日本における長距離自然歩道の軌跡
               阿部 宗広氏(一般財団法人自然公園財団 専務理事)
  16:30〜17:10   自然歩道比較と利用者意識
               吉谷地 裕(公益財団法人日本交通公社 研究員)
  17:10         閉会

  ※30分発表+10分質疑応答
  ※プログラムは、諸事情により変更になる場合もございますので、予めご了承ください。
  ※終了後に懇親会も予定していますので、ぜひ、ご参加ください。

<申し込み・お問い合わせ>
参加ご希望の方は、ご所属、お名前、ご連絡先(電話、Eメール)を添えて、事務局宛て
10月12日(金)迄にお申し込みください。

<事務局>
  公益財団法人日本交通公社 五木田(ごきた)、安達
  メール:shizen@jtb.or.jp  TEL:03-5255-6125  FAX:03-5255-6077

2012年9月14日金曜日

講演会のご案内

関係各位;

山岳レクリエーション管理研究会の山口です。本研究会のメンバーで岩手大学の
広田純一教授が学会で札幌にこられる予定があり、今回はお忙しい時間の中では
ありますが、以下の講演をお願いしましたところ快くご承諾いただきました。
ショートノーティスではありますが、ご興味のある方ご参集くださいますよう情
報提供致します。尚、講演は無料ですが会場定員の関係上また懇親会の関係上出
席される方は事前にご一報いただければ幸いです。

○講演タイトル:「東日本大震災の被災地の現状と課題
〜住宅とコミュニティの再建を中心に、2012年8月現在の状況〜」

○講演概要:主に岩手県と宮城県の津波被災地を対象に、住宅の集団移転と地域
コミュニティの再建をめぐる現状と課題を紹介する。

○講演者:広田純一氏(岩手大学農学部共生環境課程・教授)
(公職…政府復興構想会議専門部会委員、岩手県東日本大震災津波復興委員会総
合企画専門委員会委員、田野畑村震災復興計画策定委員会委員長、山元町震災復
興有識者会議委員、大船渡市崎浜地区復興会議委員、(社)おらが大槌夢広場顧
問、岩手大学三陸復興推進機構地域コミュニティ再建支援班班長、NPO法人い
わて地域づくり支援センター理事長ほか)

○日時:9月20日(木)18:00〜19:30

○場所:北大農学部1階のS11講義室(正面玄関入って左、突き当たりを右)

○懇親会:20時ころより場所未定ながら札幌市駅北口周辺にて、当日講演前に参
加者数により決定。

○申込先:山口 rxl04715@nifty.ne.jp

2012年7月20日金曜日

国内地域制自然公園の有効性・課題検証(第3回)

標記の会合が8月2日と3日に東京農工大学農学部で開催されます。まだWCPA-JのHPでは、情報がアップされていないようですので、詳細については、下記のリンク先のpdfファイルをご覧下さい。
docs.google.com/open?id=14jmJk…

2012年5月7日月曜日

造園学会「地域との協働による自然公園の管理」


下記のミニフォーラムを、日本造園学会の全国大会において開催します。

日時:5月20日(日) 17時〜18時半
場所:大阪府立大学中百舌鳥キャンパス B3棟208中講義室

「地域との協働による自然公園の管理」
 自然公園には、優れた自然風景の保護と生物多様性の保全の場としての役割だけでなく、里山・里海のように地域との関わりが強い自然景観を保全する場としての役割も期待されている。たとえば,東日本大震災を契機に構想された「三陸復興国立公園(仮称)」においても地域の産業や暮らしとのつながりがテーマとなっており,公園構想は三陸に住む人々の生業と切り離して語ることができない。三陸沿岸に限らず,地域制である我が国の国立公園は、様々な主体が係わる協働により管理されてきており、その体制の再構築が求められている。本ミニフォーラムでは、最近の自然公園の管理について話題を提供し、これからの地域との協働による管理の可能性について参加者を交えて議論を行う。

話題提供
下村 彰男(東京大学) 国立公園における協働型運営体制のあり方
桂川 裕樹(環境省) 「三陸復興国立公園(仮称)」再編成の取り組み
熊谷 嘉隆(国際教養大学、WCPA-J委員長) アジア公園会議と地域制自然公園の検証
土屋 俊幸(東京農工大学) 国有林の協働型管理—赤谷・綾両プロジェクトの比較から

企画・運営 愛甲哲也(北海道大学)、田中伸彦(東海大学)、山本清龍(岩手大学)
連携する団体
 自然公園研究会、WCPA-J、環境省自然環境局国立公園課

連絡先
愛甲哲也、北海道大学大学院農学研究院
060-8589 札幌市北区北9条西9丁目 電話011-706-2452 tetsu@res.agr.hokudai.ac.jp

造園学会全国大会の会場については、下記をご覧下さい。
http://www.landscapearchitecture.or.jp/dd.aspx?itemid=2226&efromid=0#moduleid1412

また、上記の内容に関連の深い環境省の検討会のHPは下記です。
http://www.env.go.jp/nature/np/kanri_conf.html

2012年4月27日金曜日

自動計測による公園利用者のモニタリングのお知らせ

山岳レクリエーション管理研究会
「自動計測による公園利用者のモニタリング」

平成24年5月14日(月) 13時半~15時 北海道大学農学部S119室

北海道大学大学院農学研究院、Eco Counter、フランス大使館企業振興部

 利用者数のモニタリングデータは、公園管理の基礎的情報となります。国内でもいくつかの機器が使われていますが、精度や使い勝手はまだ改良の余地があります。このセミナーでは、これまでの利用者モニタリングの成果をふりかえるとともに、新たに国内でテストを開始したEco Counterのご紹介をします。フランスからEco Counter社の方も来札し、現在試験を行っているポプラ並木横の花木園でのデモもご覧いただきます。

報告者
利用者モニタリング手法の比較 愛甲哲也(北海道大学)
大雪山における登山者数の推定 庄子康(北海道大学)
Eco Counterについて Eco Counter社

問い合わせ先
愛甲 哲也
北海道大学大学院農学研究院
Tel/Fax 011-706-2452
tetsu@res.agr.hokudai.ac.jp


2012年4月10日火曜日

国立公園内の地熱発電の推進における公園計画の課題

国立公園内の地熱発電の推進に関して、環境省が規制緩和をしたことが報道されている。現行の国立公園の公園計画をもとに、規制を緩和する内容には、きわめて違和感をおぼえる。それは、現行の公園計画が、風景の保全を重視し、かつ土地所有者の意向に左右されてつくられてきた経緯を考えると、規制緩和された地域に生態系保護の観点から重要な地域がとりこぼされている可能性がきわめて高いからである。

 わが国の国立公園は、アメリカやオーストラリアとは異なる地域制という制度を採用してきた。私有地を含んでいても公園の指定をできるが、土地所有者の同意が得られなければ重要な資源があっても規制は弱くなってしまう。国立公園内の国有地は約6割、公有地が約1割で残りは私有地であるが、国有地も国立公園専用の土地ではなく、その大半は国有林として林野庁に管理されている。環境省が直接所管する土地は全体の1%にも満たない。
http://www.env.go.jp/park/welcome/index.html

 自然公園内の地熱発電については、昭和47年に既設の6箇所以外の調査工事や開発は景観及び風致維持上支障があると認められる地域では推進しないことが、通知された。地熱エネルギーへの期待の高まりに対して、自然環境保全審議会は、昭和54年に、地熱開発による風致景観への影響が大であるとし、「国立、国定公園内の自然環境保全上重要な地域を避けることを基本とすべき」とした。平成6年には、(当時)霧島屋久国立公園内の発電所の設置予定にあたって、普通地域内においては、風景の保護上の支障の有無について個別に検討するとした通知がだされ、大霧地熱発電所が普通地域内に建設された。

 これまでの普通地域内への設置と斜め堀りを認める方針を、自然エネルギーへの期待の高まりを背景に、環境省は第2種、第3種特別地域においても、特定の条件を満たせば垂直掘削と発電施設の設置を認めるように緩和した。候補地となっているのは、阿寒国立公園阿寒地域、大雪山国立公園白水沢地域、十和田八幡平国立公園菰ノ森地域、栗駒国定公園木地山・下の岱地域および小安地域、磐梯朝日国立公園磐梯地域である。

 地熱発電所の建設や、地熱発電による影響について、自然景観や温泉資源に対する懸念も指摘されている。今回の緩和において懸念されるのは、自然公園内の第2種特別地域、第3種特別地域、普通地域は、自然景観を保護する観点から価値が低く、開発の影響も少ないと誤解されている点である。先述したように、現行の公園計画は風景の保護を主要な目的としており、またその地種区分(特別保護地区や特別地域の区分)には土地所有者の意向が強く反映されている。国有地と言っても、林野庁が所管する国有林が大半を占めるため、乱暴に言うと、林野庁が木材生産のために不要と考えた高山帯などが特別保護地区や第1種特別地域に指定された経緯がある。自然生態系保護や利用体験保護の観点から計画が立てられていないことの問題点は、早くから指摘されてきた。支笏洞爺国立公園の事例ではあるが、下記の論文で分析を行い、現行の公園計画の問題点を指摘している。現行の公園計画は、実は自然保護上かなり問題をはらんでいるものなのだ。
愛甲 哲也, 富所 康子, "支笏洞爺国立公園における公園計画と国有林森林計画の関係について": ランドスケープ研究, Vol. 73 No. 5, 505-508, (2010) .
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jila/73/5/73_505/_article/-char/ja/

 また、現行の特別保護地区と第1種特別地域が自然環境保全上重要な地域をすべて網羅しているわけではない。これについては、環境省も2010年の生物多様性条約締約国会議にあわせて、生物多様性保全の観点から国立・国定公園の点検を行っており、その不十分さは認識しているはずである。
国立・国定公園総点検事業について
http://www.env.go.jp/park/topics/review.html

 よって、現行の公園計画に立脚して、第2種特別地域、第3種特別地域、普通地域または公園外では、地熱発電所の建設や垂直掘削は可能だとするのは、時期尚早な判断であると考える。自然景観はいったん失われると、将来の世代に大きな禍根を残しかねない。地熱発電の自然環境への影響を十分に検討するとともに、自然生態系保全の観点から自然公園の公園計画をきちんと見直すべきである。

2012年1月29日日曜日

第13回「山のトイレを考えるフォーラム」

第13回「山のトイレを考えるフォーラム」開催のご案内
テーマ:『北海道の山トイレ 今私達にできること』
                                    
      
                                     主催:山のトイレを考える会

 山のトイレフォーラムも第13回目を迎えようとしています。13という
回数を重ねていることに、ある意味複雑な思いがあるのも事実です。
 私達のふるさと北海道の野山が屎尿やトイレ紙に汚染されない状態がいつに
なったらできるのでしょうか。試行錯誤を繰り返していることにときに忸怩たる
思いに駆られものです。
 来る3月10日には様々な形で会員やトイレ問題に関わりの関係者の皆様のお話
を拝聴し、それを元に北海道の山岳環境改善へ向けた討論を通じて光明を見出せ
ることを切に希望しております。
 特に登山愛好家の皆様には一日だけ山をお休みしてのご参加を心よりお待ち申
し上げます。               
                                    山のトイレを考える会代表 岩村和彦
-------------------------------------------------------------------------

1.日時  2012年3月10日(土) 13時30分~16時30分まで
                                     (受付開始:13時00分~)
2.会場  札幌エルプラザ2階 「環境研究室2」
       札幌市北区北8条西3丁目  011-728-1222
3.フォーラム内容
  (1)各山域のトイレ問題について日頃、積極的に取り組んでいる会員
       (個人・団体)及び支援していただいている関係者による課題報告
        と提言
  (2)ディスカッション
      改善に向けた今後の具体的な取組み、活動方法について討論
3.参加費 資料代として500円

(交流会)17時30分~ つぼ八札幌南口店
     (札幌市中央区北4条西4丁目ニュー札幌ビル2階)011-223-8805
         会費3,000円程度

(お問い合わせ) 山のトイレを考える会事務局
      〒060-8589 札幌市北区北9条西9丁目
       北海道大学大学院農学研究院内(担当:愛甲)
       TEL&FAX:011-706-2452
       E-mail:hokkaido@yamatoilet.jp

2012年1月25日水曜日

北のランドスケープ研究集会

下記の日程で、今年最初の研究集会を行います。
年度末で、お忙しいとは思いますが、ふるってご参 加ください。

北のランドスケープ研究集会
2月9日(木)18:00~
 札幌市立大学サテライトキャンパス
 (アスティ4・5ビル 12階)
「台湾におけるランドスケープの現状と農村再生について」
曾碩文さん(台湾 国立嘉義大学)
曾さんは、北海道大学大学院で学び、2005年に「子どもの戸外遊び環境としての公園整備に関する研究」で学位をとり、台湾の国立嘉義大学景観学科の助理教授として教鞭をとってらっしゃいます。今回、交流協会の助成で研究交流のために再び来札しています。最近の台湾でのランドスケープ事情と、現在取り組んでいる農村活性化のプロジェクトについて話題提供をしていただく予定です。なお、日本語で行われます。

お問い合わせは、下記、愛甲まで。

--
愛甲 哲也
北海道大学大学院農学研究院
Tel/Fax 011-706-2452
tetsu@res.agr.hokudai.ac.jp
www.agr.hokudai.ac.jp/hsla/aikoh/

2012年1月12日木曜日

次回の「環境と社会」研究会

「環境と社会」研究会のご案内をさせていただきます。
今回は、自然エネルギーについての講演です。講演者の古屋将太さん(環境エネ
ルギー政策研究所研究員)は、内外の自然エネルギーの状況を研究しており、現
在デンマークの大学で博士課程に在籍しながら、日本各地で自然エネルギー普及
のための講演活動も行っています。今回は、デンマークにおける地域社会主導の
自然エネルギーを軸に講演をしていただきます。

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「環境と社会」研究会
2012年2月8日(水)18:00~20:00
場所:人文・社会科学総合教育研究棟(W棟)4階408教室

講演者:
古屋将太(環境エネルギー政策研究所研究員、デンマーク・オールボー大学大学
院)

タイトル:
地域自然エネルギーにおける知識創造プロセス:
サステナビリティ・プラクシス(Sustainability Praxis)の検討

概要:
3.11後、さまざまな地域で小規模分散型の自然エネルギーの普及をめざす動きが
加速しています。そこでは地域のさまざまなステークホルダーが関わり、数多く
の課題に挑戦し、新たな知識を創り出しながら取り組みを進めていきます。報告
では、国内外の地域自然エネルギーの事例を参照しながら、それらのプロセスに
おける知識創造のあり方の分析枠組みを検討します。
-----------------------------------------------
(研究会のあと懇親会も予定しています)

古屋将太(ふるや・しょうた)さんは、1982年生。NPO法人環境エネルギー政策
研究所(ISEP http://www.isep.or.jp/ 所長:飯田哲也)研究員/デンマーク・
オールボー大学大学院博士課程計画・開発プログラム在籍中。専門は地域の自然
エネルギーを軸とした環境エネルギー社会論。http://bit.ly/wvVzt3 参照

「環境と社会」研究会
http://kankyotoshakai.blog119.fc2.com/
連絡先:
北海道大学大学院文学研究科 宮内泰介 miyauchi@let.hokudai.ac.jp

2012年1月6日金曜日

最近の山岳トイレを巡る動き

みなさま

新しい年を迎えました。いかがおすごしでしょうか?
昨年はフォーラムやトイレデーなど当会の活動にご協力いただき、ありがとうございました。今年もよろしくお願いします。

今年のフォーラムは、3月10日(土)を予定しています。くわしくは改めてご案内しますが、天気良くても山に行かずにフォーラムにお集まりください。代表が一番あぶないですが、フォーラム会場にしばりつけておこうと思います。

 さて、最近の山岳トイレの動きについて、少し報告します。例の仕分けのながれで、山小屋トイレの補助金が環境省内の行政レビューで廃止と判定されたことは以前もMLでお伝えしていたかと思います。平成22年度までこの事業で107箇所のトイレの整備が進んだのですが、登山者からの負担、公共性の定義、入山規制の強化などが不十分と判断されてしまいました。
http://www.env.go.jp/park/support/mr.html
http://yamakei-online.com/magazine/blog_detail.php?id=1015

 その判定に対して、特に山岳関係者から多くの反論もありました。東京では反対する集会なども開かれました。また、環境省の担当課でも「山岳地域環境保全対策等検討会」をたちあげ検討を行いました。山岳トイレは公益的な機能をもっており、山小屋経営者などが単独で整備するのは難しく、入山規制や受益者負担の導入は時間を要するという意見などがまとめられました。下記のリンク先で会議資料や議事要旨をみることができます。
http://www.env.go.jp/nature/np/conf_sangaku/index.html

 その検討を受けて、今年度は新たに「山岳環境保全対策事業」として第三者による審査や、地域協議会を助成の受け皿にすること、受益者負担を導入することなどの変更を行いました。23年度には1億7500万円の予算がつきましたが、来年度予算ではそれも4割減となる予定です。
http://www.epohok.jp/modules/bulletin3/index.php?page=article&storyid=1590
http://www.shinmai.co.jp/news/20111225/KT111224ATI090006000.html

 震災後の財政も逼迫している状況ですのでやむを得ない部分もありますが、山小屋や山岳トイレの公益的な機能が政府や財務省には理解されていないのではと感じています。環境省では年末に総合的山岳環境保全対策推進事業に係る検討会をたちあげて、登山道やトイレの整備水準や管理体制について、全国レベルのガイドラインを検討することになりました。これは、登山道整備が過剰であると批判されたり、最近の遭難や事故の増加への対応、地域の団体やボランティアも参画した協働型の国立公園管理などとも関連して、メリハリのある山岳地の施設整備をしていこうというものです。12月27日に1回目の会議が開かれ、私も参加して、大雪山の登山道管理水準について報告してきました。これから2年かけて、登山道やトイレの整備のあり方について方針をつくっていくことになります。
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=14623

 上記の検討会の内容は、おいおいMLなどでご報告し、フォーラムでも紹介できればと考えています。